2010年3月5日金曜日

甘ーい神話の絵

ローマのアプレイウスという人が書いた小説の有名な一挿話。(呼称は、なじみのある英名で。)

人間の少女プシュケーのあまりの美貌に、百戦錬磨の美の女神、ヴィーナスがヤキモチを焼きます。

ヴィ「人間のくせにこしゃくな。キューピッド、お前の矢で、プシュケーが、世界で一番の醜男に惚れるようにしておしまい!」

神なのに、せこいです、ヴィーナス。

キュ「オッケー、ママ。行ってくるよ。あ、プシュケー発見。なんて美しいんだ。あ、痛い、間違えて自分の矢で、自分を傷つけちった。プシュケーLove!さぁ、プシュケー僕の宮殿にいらっしゃい、でも夜だけ君に会って、朝には実家帰るから。あと僕の顔見ちゃダメよ。」

理不尽です。でも相手は神様だからしょうがない。

プ「あぁ、彼の正体を知りたいわ。寝ている間にちょっとのぞいちゃえっ。・・・!!は、羽がはえとる〜〜〜!」

キュ「(プシュケーの持っていたランプの油が落ちて)アチッ、あぁ、プシュケー約束破ったね、さようなら。」

ヴィ「キー、かわいい息子をたぶらかした上に、火傷までさせるとは!(しかも美人とは!)許さーん!」

「どうか、彼との結婚を許してください。」

ヴィ「(許すわけないやろ。無理難題をふっかけて、なきものにしてやる、フフ。)コレとコレとコレを持ってきたら許してあげるわ。」

まるで、昼ドラの姑です。

プ「プシュケー頑張るっ。」

そんなこんなでプシュケーは頑張りまして、他の神々からの助力を得たりしつつ、過酷な試練をなんとか乗り越え、やっとヴィーナスからお許しが出て、めでたくキューピッドと結婚できたのでした・・・、と超要約するとこんなお話。

で、この絵は、キューピッドがプシュケーを天上につれて行くハッピーエンドの場面。
見てください、このプシュケーの「ワタシ、シ・ア・ワ・セ〜」な顔。

ウィリアム・アドルフ・ブグローは高度なテクニックで、このような甘〜い、クネっとした女性や天使や子供の絵をたくさん描いた、19世紀フランスの画家。

あまりにも甘美でうっとり系の作品群を見ていると、ちょっと気恥ずかしく、むずがゆくなりますが、このプシュケーの幸せ顔には降参。

ちなみにプシュケーのシンボルは蝶。この絵のように、蝶の羽を持っていたり、蝶がまわりに飛んでいたりすることが多いです。

魂・心を象徴するPsyche(プシュケー)は、psychology(心理学)の語源なのだそう。
まさしく「魂」(プシュケー)が「愛」(キューピッド)を求める、ブグローの絵にぴったりのストーリー。

画像:ブグロー作「プシュケーの誘拐」。キューピッドは優男風。

5 件のコメント:

  1. あはは、面白く分かりやすくありがとう!
    この幸せ顔・・・すごいね、脱帽。

    その後の二人はずっと幸せだったのだろうか?
    嫁、姑のドロドロ劇にならなかったんだろうか?
    気になるわ~~~

    絵の背景にある物語を知るとさらに面白いね。

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  2. あははは☆
    nao翻訳、めっちゃおもろい!!ホントわかりやす〜

    そうやりながら、絵のお勉強なんて
    あんたはエライ!!(あ、このギャグは知らない?)

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  3. ★hibaちゃん
    でしょでしょ。
    この顔みたら、「よかったね〜、お幸せに」と言わざるを得ない!
    でも、ヴィーナスの性格からして、きっとプシュケーいびられただろうなぁ、と私も予想しますっ。


    ★sachiさん
    nao翻訳、楽しんでもらえて嬉しいな♪
    また、お勉強の成果を少しずつ紹介して参ります☆
    「あんたはエライ!」フレーズしか知らなかったのですが、
    小松政夫発祥だったのか〜(笑)

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  4. おひさしぶりです~。プシュケーのエクスタスィー(byジミーちゃん)な顔がかわゆいですねぇ。もしや脚色の才能もあります??シリーズ化して欲しいぐらいオモシロす!
    ところでこちらのブログはリンクフリーでしょうか?

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  5. ★せらさん
    彼の絵はアヘアヘウヒハ(by寛平)なカワユイ女子がいっぱいですよ。
    てんてんむし流西洋絵画劇場、シリーズ化していきたいなぁ。ひかれない程度に俗っぽく(笑)

    リンク、ぜひにぜひにお願いします♪

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